前回は恥ずかしながらクロージングが全くできなかった頃のお話をさせていただきました。
クロージングを始めた時に比べて、ある程度リフォームのご要望をお聞きできるようになりますと、状況が少しづつ変わってきました。
この頃にはお客様に認めていただける部分も少しづつ増えてきたんじゃないかなと思えるようになってきたりもしました。
その中で 強く印象に残るお客様 が一人おられました。
お客様はご自宅のトイレ改装をご希望されており、すでに複数の業者さんからお見積もりをいただいていたそうです。
そして最後にお伺いしてくださったのが私のところだったそうで、
他の業者さんでいただいたお見積もりの方を拝見させていただいたのですが、
正直、うちでは到底敵わない と思いました。
最新型の設備が入っており、壁や床も全部綺麗にしてもらえるうえにお値段もお安いのです。
それに対してこちらは設備でもお値段でも全く太刀打ちできません。
ハッキリ言って、これだけ差があれば契約は期待できないだろうとは思いました。
そこでお客様のご検討のキッカケをお伺いしてみました。
どうやら入院していたおばあさんが退院されるそうで、この機会にリフォームしたいと思ったそうです。
そして、そのおばあさんは少し足腰を悪くされているそうで、
今のままではお一人でトイレを利用する時、何かお困りになるようなことはないかというお話になりました。
具体的には手すりの設置箇所をもう少し増やさないと、
おばあさんがお部屋に入った時に、
ドアの開閉が厳しくないですか、
立ち上がったりするときに辛くないですか
というお話になりました。
お客様もそれに同意していただき、ではそのようにお願いしますというかたちでお話が進みました。
そしてお見積もりの段階に入ったのですが、先述のとおり他の業者さんには敵いません。
部屋の壁や床の張り替えまで含めると、ご要望通りの予算内で納めることができませんでした。
しかもトイレ本体も他のメーカーさんに比べると古いタイプのものです。
そんな圧倒的に不利な状況で正直にお見積もりを提出したのですが、
結果的にはうちを選んでくださいました。
何故うちを選んでくださったのか理由をお伺いすると、
「おばあさんには追加で手すりがあった方が良いのではないか」
と気づき、提案したのが私だけだったからだそうです。
要するにお客様のご要望の真意は、トイレの改装そのものではなく、おばあさんに安心していただける環境だったわけです。
ですから、お客様のご要望を承ることにより信頼していただけるようになり、やがて工事の受注に結びつきました。
そして工事が終わった後も すぐに、
「階段や廊下にも手すりを取り付けて欲しい」
と注文していただきました。
それからはおばあさんが亡くなられるまで数年間、とても濃いお付き合いをさせていただき、リフォームの度にお客様は喜んでくださいました。
それが私の 原点 であり、現在の
お客様のお気持ちに寄り添う思想につながります。
こちらが何を売りたいか、最新のものとか安さを重視したものとかよりも、
お客様のご要望に沿ったご提案
こそがお客様の最も望まれることなんだと体感しました。
その一件があってからは、意識的にお客様のご要望を重視した提案にかなり寄せていきました。
まずはお悩みをお聞かせいただき、プロとしてしっかりご提案させていただくということを繰り返していきました。
結果としてお客様にも大変お喜びいただけるようになり、
予算を大きく取っていただけるようになりました。
これが現在の
「お客様の満足度と取引価格を最大化させるクロージングステップ」になっていったわけです。
そんなかんじで今では私もこうやって、お仕事で色々なクロージングのお話をさせていただけるようになってきました。
繰り返し言いますが、クロージングはテクニックがどうというよりも
「いかにお客様のご要望に寄り添えるか、カウンセラーに徹するか」というのが非常に大きな要素だと思っています。
今回のお話は以上です。
今回は「いかにお客様のご要望に寄り添えるか、カウンセラーに徹するか|クロージング講座12」でした。
次回は「クロージング講座を受けた結果|クロージング講座13」についてです。
「いかにお客様のご要望に寄り添えるか、カウンセラーに徹するか|クロージング講座12」の動画版はこちら。
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