「繁忙期の売上をもっと伸ばしたい」。そう思うのは、たいてい繁忙期が近づいてから、あるいは繁忙期の真っ最中です。今年こそはと意気込んでも、気づけばまた同じ時期に同じ悩みを抱えている。そんな社長さんも多いのではないでしょうか。
繁忙期の数字は、繁忙期になってから頑張ってもなかなか動きません。チラシを一枚多く配っても、キャンペーンを急いで組んでも、間に合わないことのほうが多いんです。準備が足りなかったと気づくのは、いつも繁忙期が終わったあとです。
以前の問題解決ワークでも、ある季節性事業者の方から、まさにこの相談がありました。今日は、その場で私が伝えた内容を、開催レポートとして紹介します。
「繁忙期の売上を上げたい」と言われても、実はもう遅い
相談の内容はシンプルでした。冬、おおむね1〜3月の売上を上げたい。セールスレターのアイデアが欲しい、というものです。

これに対して、私はまず前提から話しました。「1〜3月の売上を上げたい」と、その年の終わり近くになって相談されても、本来は手遅れです。1〜3月の売上は、遅くとも9月には準備をスタートしていないと間に合いません。
問題を解決するときは、目の前の要望をそのまま受け取らないことが大切です。まず前提を確認する。この考える順番を間違えると、どんなに良いアイデアを出しても、実行が追いつきません。今回の相談も、目の前の1〜3月をどうにかする話ではなく、来期に向けた設計の話として聞く必要がありました。
本来の答えは、予約販売で売り切ること
1〜3月の売上を最大化する本来の答えは、予約販売で売り切ることです。秋のチラシや葉書きで、年明け分の予約をほぼ売り終えている。それが理想の状態です。実際、会員の中には、前年のうちに年明け分をほとんど売り切っている方もいます。
ただし、急にチラシを作ったところで、いきなり売れるわけではありません。予約販売が成立するには、次の3つの土台ができている必要があります。
- 集客の計画(チラシ・セールスレター・葉書きをきちんと回す)
- 商品の品質と満足度が一定基準にあること
- 口コミ・SNS・ブログでの事例投稿
どれか一つが欠けていても、チラシを配った瞬間に化けの皮が剥がれます。集客だけ頑張っても品質が伴わなければお客様は離れますし、品質が良くても発信がなければ、そもそも知られません。三本柱が揃って、はじめて「予約で売り切る」という理想の状態が実現します。
この場でも、相談者の状態を三本柱に照らして確認していきました。商品の品質にも、電話の応対にも、既存のお客様の反応にも、大きな問題は見当たりません。足りなかったのは、3番目のSNS・口コミの発信だけでした。土台の多くは、すでにできていたんです。
品質のアラは、自分が思っているより多い
三本柱のうち、特に見落とされがちなのが2番目の「品質」です。品質は、自分が思っているよりできていないものだと、私はいつも伝えています。
靴下が汚い。訪問前に電話を入れない。前の現場の埃で汚れた作業着のまま行く。床養生をめくったら、藁が一、二本落ちている。ひとつひとつは小さなことに見えて、こうした積み重ねで、せっかくの商品が台無しになります。商品そのものだけでなく、身だしなみや現場での振る舞いも含めて、お客様は品質として見ています。もう今の時代は、こうした振る舞いは許されません。
品質・満足度がきちんと上がっているかどうか、誰の目にも分かる指標がアンケートの回収率です。アンケートに答えたいと思ってもらえるかどうかは、そのまま満足度の裏返しだからです。そして、口コミの代わりに一番見えやすいのが、SNSやブログでの事例投稿です。ここまで揃って、はじめて予約販売が成立します。
繁忙期の設計は、逆算から始まる
この相談から持ち帰ってほしいのは、繁忙期の売上は、繁忙期になってからではなく、数ヶ月前の準備の質で決まる、という考え方です。

集客の計画を立てる。品質のアラを一つずつ潰す。事例を発信し続ける。この3つを繁忙期の何ヶ月も前から積み上げておいて、はじめて「予約で売り切る」設計が機能します。1〜3月の売上を作るなら、逆算して9月には動き出す。この順番を間違えると、どんなに良いセールスレターを書いても、間に合いません。
9月に動き出すというのは、特別なことではありません。繁忙期の始まりから逆算して、いつまでに何を終えているべきかを、カレンダーに落とし込むだけです。これは季節性の強い商売に限った話ではありません。繁忙期が決まっている事業であれば、業種を問わず同じ構造が当てはまります。繁忙期の直前になって焦る前に、何ヶ月前から何を準備しておくべきか、逆算のカレンダーを一度作ってみることをお勧めします。
おわりに
繁忙期の売上に悩んだら、まず自社の準備が何ヶ月前から始まっているかを確認してみてください。集客の計画、品質のアラ、発信の3つのうち、どこが手薄になっているか。そこに、繁忙期を変えるヒントがあります。
一人で振り返ると見えにくいところなので、よかったら一度、あなたの繁忙期の設計を一緒に整理させてください。
