飛び込みや地域の挨拶回りで、冷たくあしらわれた経験はありませんか。
意を決して店に入ったのに、露骨に迷惑そうな顔をされる。話を最後まで聞いてもらえず、追い返される。何軒も続くと、足を使った集客そのものが怖くなってきます。「自分は営業に向いていないんじゃないか」。そう思ってしまう社長を、私は何人も見てきました。
でも、待ってください。門前払いされ続けた原因は、あなたの人柄でも商品でもないかもしれません。単に、声をかけるタイミングが悪かっただけ、ということが本当に多いんです。
先日の集客セミナーで、まさにこの話になりました。今日は、その場で出たやりとりを紹介します。
「暇そうな人と喋るだけ。忙しい人はだめ」
地域を回って商店に声をかける、いわゆる商店回りの話になったとき、私はこう言いました。「暇そうな人と喋るだけよ。忙しい人はだめ」と。
身も蓋もない言い方に聞こえるかもしれません。でも、これが核心です。同じ人が、同じ商品を持って、同じ言葉で話しかけても、相手が忙しい時に行けば嫌がられ、手が空いている時に行けば話を聞いてもらえます。結果を分けているのは、営業トークの上手さより、相手の状況を読めているかどうかなんです。
忙しい人に話しかけるのは、相手のためにもなりません。手が離せないところに割り込めば、当然うっとうしがられます。そうすると、その一度の印象で「あそこの営業はしつこい」と刻まれてしまいます。声をかける前に、相手が今どういう状況かを見る、ただそれだけのことが抜け落ちている人がとても多いんです。
昼12時にラーメン屋へ飛び込んだ人の話
セミナーでは、実際にあった失敗例を紹介しました。ある人が、隣のラーメン屋さんに、昼の12時に飛び込んでいったんです。

ラーメン屋にとって、昼の12時が何の時間か。言うまでもありません。一番忙しい、書き入れ時のど真ん中です。そこへ営業が入ってきたら、どうなるか。案の定、その人は怒られました。「怒られました」と、あとで私に報告してくれたんですが、正直、それは怒られて当たり前だと思いました。
面白いのはこの続きです。じゃあ時間を変えようと、次に行ってみたら、今度は留守だったんです。なぜか。休憩時間に入っていたからです。昼の混雑をさばいたあとは、店を閉めて休む、当たり前のリズムです。相手の一日の流れを想像していれば、どちらのタイミングも避けられたはずなんです。
「そんなの、わかるでしょう」と思いますよね。私もそう思います。でも、わからない人が現実にいるんです。だからこそ、ここを言葉にしてお伝えしています。
足を使う前に、タイミングを設計する
ここで大事なのは、根性の問題ではないということです。「もっと数を回れ」「断られてもめげるな」。そういう話ではありません。回る回数を増やす前に、いつ行くかを設計するほうが、よほど効きます。

相手の業種には、それぞれ忙しい時間と手が空く時間があります。飲食店なら昼と夜のピークを外します。小売なら開店直後や客足の途切れる時間帯を狙います。そうやって相手の一日をひとつ想像するだけで、門前払いされる確率はぐっと下がります。タイミングひとつで、同じ営業が「迷惑」にも「ありがたい話」にもなるんです。これが、地域密着営業の勘どころです。
実際、電車も通っていないような地域で、こつこつ商店回りを続けて成果を出している同業の方もいます。地の利で言えば決して恵まれていません。それでも回りきれているのは、足の量で押しているからではなく、相手の状況を読んで、いつ行くかを丁寧に選んでいるからです。苦手意識のある人ほど、量ではなくこのタイミング設計から入ってみてほしいと思います。
おわりに
挨拶回りで門前払いが続くと、つい自分を責めてしまいます。でも、原因の多くは、あなた自身ではなくタイミングにあります。忙しい人に声をかければ嫌がられ、手の空いている人に声をかければ話が始まります。ただそれだけのことが、結果を大きく分けています。
「暇そうな人と喋るだけ」。乱暴に聞こえるこの一言には、相手の状況を読んでから動け、という地域営業の本質が詰まっています。足を使うのが苦手な人ほど、まずは回る前に、相手の一日を想像するところから始めてみてください。
自分の場合、いつ・どの順番で回ればいいのか。自社の商品や地域に合わせた回り方は、一人で考えると止まりがちなところです。よかったら一度、一緒に整理させてください。
