先日、大阪でRMMSの1dayセミナーをやりました。
テーマは新規事業展開です。
新しい事業をどう選ぶかという話をひととおりしたあと、僕はこう続けました。
で、やっぱりありもので寄せなきゃいけないと。
ありものというのは、今の自分の会社にあるもののことです。
今ある設備、今いる社員さん、今お付き合いのあるお客様。
新規事業は、ここから離れずに考えます。
この一言に、僕の考え方はほとんど入っています。
そのうえで、参加者の皆さんに、売り先を4つの方向に分けて問いを出しました。

まず、今のお客様に何を売るか。
ありものって言い方は失礼なんですけど、今あるもので、今のお客様にもう一つ何が売れるか。
次に、同業に何を売るか。
これは、同業の人向けに冊子を売っている会員さんがいるので、その方を例にお話ししました。
同じ商売をしている人が、お客様になるという方向です。
それから、異業種に何を売るか。
要は取引先とか、今まで仕入れ元だったところに、逆に売る。
今まではこっちがお金を払っていた相手に、今度は売る側に回るという方向です。
最後に、全くの新規に何を売るか。
これも一つの考えようですから、と付け加えて、4つの回答を考えてもらいました。
時間は5分ぐらいです。
集まった回答を見ていくと、これがなかなか面白いんです。
今のお客様に向けては、シロアリ診断、柱磨き。
同業に向けては、下請けでの製本、修理やメンテナンス。
異業種に向けては、OEM、特殊清掃。
全くの新規に向けては、名刺、刃物研ぎ、ペット用品。
ほかにもいろいろ出ました。
5分でこれだけ出てくるんです。
どれも、新しい会社を作って設備を入れて、という話じゃありません。
今の商売と地続きのところにある売り物ばかりですよね。
新しい機械のカタログを開く前に、売り先の方から考える。
順番をこうするだけで、皆さんの中から答えがこれだけ出てくるわけです。
ところで、世間で新規事業というと、これとは逆の方をイメージする方が圧倒的に多いです。
「あれやりたい、これやりたい、この機械買いたい」
まず作って、それからどうやって売ろうかを考えるやり方ですね。
普通のやり方とも言えますし、新しい機械を見て、これがあったら何ができるかなと考える気持ちは、僕もよく分かります。
ただ、僕らの規模でそれをやると、こうなります。
「このビジネスうまくいきまして」って急に新しい会社を作って、急に設備投資して、全く違うことを始める。
無理じゃないですか。
労力がでかすぎるし、リスクも高すぎるんです。
僕らはゲームの初期条件がすごく限られてるわけですよ。
大企業みたいに、いきなり工場をドーンと買って、設備をボンと入れて、従業員を1000人入れる。
絶対無理なんです、そんなの。
だから、今ある初期条件に合わせた事業選択をしなきゃいけない。
ありもので寄せる、というのはそういう意味です。
設備を買うにしても、買い方があります。
会員さんの中に、機械を入れるときに汎用性を見て買う方がいます。
この機械で、後でほかに何ができるか。
そこを見て買っておられるんですね。
専用機を買わない。
これは一つの方法です。
一つの用途にしか使えない機械は、その事業が止まったら機械も一緒に止まってしまいます。
汎用機なら、次の事業にそのまま回せるんですよね。
それから、時期と人です。
本業が暇な季節や、手の空いている社員さんで労力をかけられて、本業のピークとぶつからない事業はないか、という見方もあります。
今の社員さんでもできること。
同じお客様とお付き合いできるもの。
そういうところで選ぶと、楽なんです。
リフォーム店に対して墓石清掃もそうですよね。
今のお客様と、層がかなりクロスオーバーしてるわけです。
いろんな人がやっていますけど、レッドオーシャンじゃありません。
みんなそんなに立ち上がっていないんです。
入り方は、今のお客様にリピートで一回買ってもらってから、紹介に結びつけること。
これが絶対いいんです。
そして、これがコツなんですけど、あくまでも無理をしない。失敗してもいいように準備しておく。
爆死しないやり方で始めるんです。
今ある設備で始めてみて、うまくいくんだったら補助金で取ろうか、ぐらいの感じで、いきなり補助金に人生をかけるようなことはあんまりやらない方がいいです。
失敗してもいいように始めておけば、うまくいかなかったときも本業はそのまま回っていますし、次の方向を試す余力が残ります。
新しい機械のカタログを開く前に、今ある設備と手の空く時期で何が売れるか、4つの方向で一度書き出してみてください。
案外、すぐ出てきますよ。
