面談のやり方を、何年も間違った形で人に渡していました。今回は、面談の中身ではなく、始める前の準備の話です。うまくいかない原因の多くは、席に座る前にあります。
僕は面談や商談のプロセスを、1から8まで手順にして配ってきました。何年もやってきて、あまりうまくいっていません。渡し方が悪かったんです。
何年も、行き当たりばったりでやっていた

まず、僕自身が何を間違えていたかを書きます。
プロセスを渡してもうまくいかなかった
手順書は毎回きちんと配っていました。順番も書いてあります。それでも現場では通らない。
受け取った側の様子を見ていると、共通のパターンがありました。全体を構成していないんです。その場その場でボールを投げている。
手順が足りなかったのではありません。手順はあるのに、全体を組んでいない状態でした。これは渡した側の責任です。
いきなり本題から入っていた
もう一つ、面談そのものの入り方です。顔を見て、早速ではございますが、と本題に入る。
これがいちばん良くないんですよね。効率的に見えるので、忙しい社長ほどこうなります。僕もそう教えていた時期があります。
なぜ社長面談が空回りするのか
ここからは構造の話です。人の資質ではなく、仕組みとして説明できます。
相手のコンディションができていない
社員の側に立ってみてください。仕事の途中で呼ばれて、部屋に入って、椅子に座る。その時点では、頭はさっきまでの作業に残っています。
そこへいきなり本題を出しても、相手はまだそこにいないんです。今から話す問題に集中してもらうには、時間を渡さないといけません。
言い換えれば、雑談は無駄な時間を使っているのではなく、本題に入りやすくするための準備です。削っていい時間ではないんですね。
目的のない雑談は時間を使っただけになる
とはいえ、雑談なら何でもいいわけではありません。
天気の話。プロ野球の話。ここまでどうやって来ましたか。
やらないよりはましですが、そのくらいのものです。阪神が弱いという話をしたところで、面談の中身は1ミリも進みません。
推奨するのは、相手のことを話させる雑談です。
- 相手の好きなものの話をさせる
- 身に付けているものについて聞く
- 本人のキャリアについて話してもらう
なぜこれがいいかというと、後で本人に自分を振り返ってもらう場面があるからです。その助走になります。内省できるような質問を、雑談のうちにしておくんです。
そうなんです。雑談の水の向け方は、こちらで選べます。選べるように持っていくのが、いちばん賢いやり方です。
入り口を決めないと、話が最後まで食い違う
雑談が終わったら、本題に入ります。ここで一文が要ります。
なぜかというと、社長が是正したいことと、社員が思っていることは、たいてい食い違っているからです。社長は行動を変えてほしいと思っている。社員はそう思っていない。
この状態で本題に入ると、最後まで別々の話をすることになります。面談だけの話ではありません。
- 禁煙や禁酒の指導で、相手がやめたくないとき
- 商談で、お客さんが高い商品を買いたくないと思っているとき
- 接骨院で、患者さんはリラックスできればいいと思って来ているとき
どれも同じ構造です。こちらの導きたい答えと、相手のニーズが揃っていない。だから入り口で揃えます。
3つだけ変えた
やったことは3つです。どれも面談が始まる前に済むことです。
机の上を何も置かない状態にする
人を部屋に入れるなら、机の上のものはゼロにしてください。うちの会社は本当に何も置いていません。
植物もいりません。何もないのが一番です。従業員が折り紙を飾り始めたりしますが、あれも要らないです。
ただし、賞状のような権威性のあるものは出したほうがいいです。何もないのと、意図して置いてあるのは別物ですから。
片付けられないという人は、一度全部撤去するのが早いです。業者さんに頼んで箱に詰めてもらって、部屋から出してしまう。貸し倉庫を月1万円で借りればいいんです。1万円が惜しくなって、だんだん捨てるようになります。そういうものなんですよね。
雑談は相手のことを話させる方へ向ける
さきほど書いたとおりです。自分の話をせず、相手に話してもらう。
ここで社長が自分の考えを喋ってしまうと、そのまま説得の時間になります。雑談の段階から、主役は相手です。
入り口の一文を決めておく
本題に入るときの一文を、あらかじめ用意しておきます。
「今回は◯◯でお越しいただいていますが、現在の◯◯でお困りのことでもございますでしょうか」
だいたいの場面はこれで足ります。決まった言い方を持っておくと、当日そこで迷わなくて済むんです。
机の上、雑談の向け方、入り口の一文。どれも面談が始まる前の話で、中身の技術ではありません。それでも、ここを整えるかどうかで面談の結果は変わります。準備のほうが本番より先に効くんですね。
