一人で現場も営業も抱えていると、売上を上げたいと思っても、何から手をつければいいのか分からなくなります。事務のスタッフを雇う余裕もない、DMを送るための顧客リストも整っていない。そんな状態で「売上を伸ばしましょう」と言われても、正直ピンとこないですよね。何か手を打とうにも、労力そのものが足りないんです。
大きな会社のような一気の売上増を、無理に目指す必要はありません。一人規模には、一人規模に合った順番があります。以前の問題解決ワークでも、一人規模で仕事をされている方から、まさにこの相談がありました。今日は、その場で私が整理した順番を、開催レポートとして紹介します。
「労力もリストもない」一人親方からの相談
相談は具体的でした。一人で仕事を回していて、事務のスタッフにハードワークを期待することもできない。労力もそれほど割けない。大きく売上を伸ばす必要はなく、無理のない範囲で確実に上げたい、というものでした。
こういう相談を受けたとき、私がまず伝えるのは施策の量ではありません。順番です。あれもこれもと手を広げるより、何から手をつけるか。ここを間違えると、あとで痛い目を見ることになります。一人規模だからこそ、やり直しがきかないんです。
答えは順番にある ― まず価格、次に品質
私が示した手順は、シンプルです。まず価格設定を見直す。次に、先に商品クオリティを上げる。そこまで整えてから、既存客に案内を送る。この順番で進めます。私はその場でこう伝えました。「順番があるんです。まず価格設定、次に商品クオリティ。これを先にやっておかないと、忙しくなってから全部クレームで返ってきて、溜まったものじゃありません」と。
最初にやるのは価格設定の見直しです。1割上げたいなら、価格表を作り直して1割上げます。価格の段階を整理し直すだけで、それだけで施策が一段落することもあります。「値上げして終わり、それでいい」という判断でも構いません。一人規模の場合、これだけでひと区切りにしてしまってもいいくらいです。
なぜ品質を先に上げるのか ― 後回しにすると全部クレームで返ってくる
次にやるべきは、商品クオリティを上げることです。ここを後回しにすると、痛い目を見ます。忙しくなってから品質を整えようとすると、全部クレームになって返ってくるからです。
問題解決ワークで共有された、業界で一般的に弱いところは決まっていました。お客様の床を汚してしまうといった、現場での気配り。仕上がりの美しさや仕上げの調整。約束した日にちを守れているか。注文書や契約書など、書類が整っているか。どれも地味ですが、後から効いてきます。

その日は「施工写真を個別に送ってもらえれば、目立たない形で直すべき点を伝えます」という提案もしました。みんなの前で恥をかかせたくない、という配慮からです。品質を整えるというと堅苦しく聞こえますが、実際にはこういう小さな指摘の積み重ねなんです。
品質を整えることは、実は既存客への案内そのものにも効いてきます。案内を送っても反応がないとき、原因は文面の出来だけではありません。商品やサービスへの評価そのものが、反応に直結します。だから、案内を送る前に品質を整えておく必要があるんです。
品質を整えてから、ようやく既存客への案内
価格と品質が整ったら、ようやく次のステップです。お付き合いのある既存客に、案内を送ります。新規のお客様は、まだ必要ありません。リストの準備ができていることが前提です。
目安としては、粗利3割増くらいが現実的なラインです。2倍を狙うと、新規集客が必要になり、一人では回らなくなります。無理をしないことも、順番のうちです。欲張って新規まで手を広げると、せっかく整えた品質やフォローが追いつかなくなってしまいます。
一時的に売上が伸びても、既存客のフォローを欠いたまま働き続けて体を壊してしまっては、元も子もありません。過労で倒れてしまった同業者の話も、当日話題にのぼりました。健康であることは、売上以上に大事な土台です。順番を守るということは、無理をしないということでもあります。
おわりに
一人親方の売上アップは、順番が9割です。まず価格、次に品質、最後に既存客への案内。この順番を守るだけで、無理なく粗利を伸ばせます。
労力もリストも限られているからこそ、順番を間違えないことが大事です。あれもこれもと手を広げず、いま自社が3段階のどこにいるかを、まず見極めてください。価格はもう見直しましたか。品質は、忙しくなる前に整えられていますか。既存客への案内は、リストの準備からで大丈夫です。一人で考えると止まりがちなところなので、よかったら一度、一緒に整理させてください。
