本業とは別に、時々声がかかる仕事ってありますよね。
看板には書いていないし、値段表にも載っていません。
でも頼まれたらできるし、実際にやっています。
それをちゃんと売り物にしたいのに、いくらで出せばいいのかが分からなくて、そこで止まっている方、案外多いんじゃないでしょうか。
9月の1dayセミナーで、まさにこの相談がありました。
今回は大阪で、テーマは新規事業展開。
後半は参加者の相談を一件ずつ聞いて、まとめてお答えしていく時間です。
そこである会員さんが、こんな話をされました。
時々声がかかる、本業とは別の仕事があるそうです。
それをネットで受けられるようにしたい。
できないものは自社のチームにカバーしてもらいながら、うまく回せたらいいなと。
ただ、まだ何も手をつけていないので、どこからスタートしたらいいのか。
ご本人は、値段設定からだろうと考えておられました。
需要は、話としてはある。
一からどういう順番で作っていけばいいのか、というご相談です。
値段設定から。
たしかに、そう考えますよね。
値段が決まらないと、売り物になりませんから。
でも僕がお答えしたのは、値段の付け方ではありませんでした。
「別ブランドで定価制ですよね」
「これが市場テストを兼ねてると」

いくらにするかの前に、どの看板でどう出すかを先に決めてしまったんです。
なぜ本業の看板で出さないのか。
本業の値段には、いろんなものが乗っかっています。
長いお付き合いのお客様、担当している社員さんの顔、現場ごとの事情。
その看板の横に新しい仕事を並べると、値段がその全部に引っ張られるんですね。
安く出せば、本業の値段まで安く見られそうで怖いですよね。
高く出せば、本業のお客様に気を遣います。
これでは決まらなくて当然です。
だから切り離します。
別の看板を立てて、見積もりを出さずに値段を先に書いた定価で出すんです。
本体の値段がいくらであろうと、そこは関係ありません。
知りたいのは、一番簡単な形で出したときに、いくらなら買ってもらえるのか、それだけです。
当日の言葉で言うと「本体が値段なんぼであろうと、これが一番簡単な値段いくらなのかなっていうのを調べたい」ということです。
売るための定価が、そのまま調べるための定価にもなっているわけです。
これが市場テストを兼ねている、という意味です。
ただ、切り離すと一つ困ることが出てきます。
「専用サイトを作らなきゃいけない」
本業のサイトには載せられませんから、別の看板には別のサイトが要ります。
そして、そのサイトにはまだ誰も来ていません。
本業のお客様とは全く関係のないところに、新しく人を呼ぶことになります。
つまり新規客の取得です。
「さっきの事業展開では避けた方がいい新規取得ですね」
実はこの日の前半で、新しい事業を出すなら今あるお客様に売るところから考えて、全くの新規客を取りに行くのはできるだけ避けましょう、とお話ししたばかりでした。
それを僕がその場でひっくり返したわけです。
自分で言っておいてなんですが、看板を分ける以上、ここは避けて通れないんです。
「既存リストに流してもいいですけどね」
今のお客様にこのサービスの案内を出すのは、もちろんやっていいですし、やらない理由もありません。
でも新しい看板で新しいお客様を取りに行くなら、記事が要ります。
ブログ300本とYouTube100本。
多いですよね。
でも、この本数には理由があります。
その仕事を頼みたい人は、どこであなたを見つけるのでしょうか。
「結局みんな自分の業種で検索するわけですよ」
こちらがサービスの名前でどれだけ上手に書いても、探す側は自分の業種の言葉で探します。
自分の仕事で困っていることを、自分の仕事の言い方で検索窓に入れるんです。
そこに出てこないと、どれだけ良いサービスでも見つけてもらえません。
だから、その業種向けの記事が30本ぐらいあるといいんです。
一つの業種に30本。
300本というのは、こういう業種ごとの束を積み上げていった先の数なんです。
書き方は、アフィリエイトと一緒です。
その業種の人が検索する言葉、つまり執筆キーワードを先に押さえて、それに基づいて一本ずつ作っていきます。
中身は「現実にある事例からどんどん」です。
実際に受けてきた仕事の話を、そのまま書いていくということです。
経験のある社員さんに、キーワードごとに一言ずつコメントを入れてもらって、それを元に記事にしていきます。
「根気と作業量はありますけど難易度がそんなに高いもんじゃないんで」
「もう出来上がっているサービスだからね」
そうなんです。
これから商品を作る話ではなくて、頼まれたらもうできている仕事の話なんです。
ゼロから考えることは一つもありません。
書く材料は、これまで受けてきた仕事の中に全部そろっています。
ここまで来て、ようやく値段の話です。
「値段テストできればいいんで」
「最初はアホみたいに安くして」
「途中からアホみたいに高くして」
安く出して、反応を見ます。
途中で高くして、また反応を見ます。
それで、一番簡単な形でいくらなら売れるのかが分かってきます。
値段を決めてから売るんじゃなくて、売りながら値段を決めていくんですね。
別の看板にした理由が、ここでつながってきます。
「自由に相手の気持ちを一切考えなくていいんで」
「ただのテストなんで」
ここが、本業の看板ではできないところなんです。
急に高くしたら、長いお付き合いのお客様に顔向けできませんよね。
急に安くしたら、今までの値段は何だったのかと言われます。
だから本業の値段は、そう簡単にはいじれません。
でも別の看板の、まだ誰も知らないサービスなら、上げても下げても誰にも気を遣わずに済みます。
テストなんですから。
そのために、本体から切り離したんです。
ただ、この出し方が合うのは、条件のそろった仕事です。
頼まれたらもうできていて、本業の看板から切り離しても成り立つ。
そのうえで、一番簡単な形だけを取り出して、定価にできる。
もともと一件ずつ複雑な見積もりを出している商売ほど、この定価が突破口になります。
値段が決まらなくて止まっている仕事、ありませんか?
決めようとするから止まるんです。
別の看板で出して、調べてしまってください。
ぜひ試してみてください。
