この9月、大阪で1dayセミナーを開きました。
テーマは新規事業展開だったんですが、後半は参加された方の相談の時間で、まず一人ずつ相談を聞いておいて、そのあとまとめてお答えする形です。
その中で、ある会員さんからこういう相談がありました。
「値上げはするつもりなんですけど、今の状況でいくらに上げたらいいんだろうっていう」
いくらに上げたらいいのか。
値上げすると決めた人が、最後にぶつかるのがここですよね。
で、僕がお返事したのはこれだけです。
「仕入れ価格を調査してください、としか言えないんで。ちょっと調べてから電話相談入れてもらったら、決めましょう」
数字を答えてません。
ケチったわけじゃなくて、その場では答えようがないんです。
今回はその理由をお話しします。

その日は会場にも、値上げの真っ最中という方が何人かおられました。
材料がまだ手元にあるので、それが高くなってきたら年末あたりに上げようかな、という声も出ました。
僕の返事は「上げた方がいいですよ」です。
値上げした方が儲かるんで。
こう書くと身も蓋もないですが、踏み切れない気持ちも分かります。
「お客様が離れないだろうか」
「理由をどう言えばいいんだろう」
そこで足が止まっている方が、ほとんどだと思います。
それでも上げた方がいいです。
材料が上がってるのに値段がそのままなら、減っていくのはこちらの儲けですからね。
じゃあ上げるとして、いくらにするのか。
ここからが本題です。
材料は上がるじゃないですか。
上がったら、こっちの価格も上げなきゃいけないですよね。
ここまでは誰でも同じ答えになります。
問題はその先で、こんな上がり方をしていたら、それに合わせて商品構成も変えなきゃいけない可能性があるんです。
商品構成というのは、どの材料をいくらの商品として並べるか、という組み方のことです。
いまの値段にいくらか足せば済む話なら、簡単なんです。
でも、材料の上がり方がこれだけ大きいと、同じ商品構成のまま単純に値上げはできません。
無理です。
値上げの額を決めるつもりだったのに、気がつくと商品の組み直しの話になってるんです。
額がその場で出せない理由の一つがこれです。
もう一つあります。
下手をすると、いままで主力にしてきた商品を、別の商品に変えなきゃいけない可能性があるんです。
主力商品の材料が上がりすぎて、いまの値段の位置に置けなくなるんですね。
それで別の材料の商品を同じ値段の位置に置くと、お客様から見れば、値段は同じで中身が変わったことになります。
物によっては、これがステルス値上げになっちゃう可能性があるんですね。
ただ、これは仕入れ先を替えられる商売の話です。
違うところから仕入れよう、ということが事実上できない商売もあります。
そういうところはステルス値上げという道が使えないので、同じ商品のまま、正面から値段を動かすしかありません。
つまり、商品を組み直すのか、同じ商品のまま値段を変えるのか。
どちらの道になるかも、値上げの額そのものも、仕入れ先が次にいくらで出してくるかで全部変わるんです。
それが分からないうちに、僕が「いくらにしましょう」と言ったら、ただの当てずっぽうです。
だから「仕入れ価格を調査してください」しか言えないんですよね。
調べてから電話相談を入れてもらったら、その数字を見ながら一緒に決めましょう、という返事になります。
値上げすると決めた方ほど、額を早く決めたがるんです。
上げると決めた勢いで、いまの値段にいくらか足して、はい決定、とやりたくなるものです。
気持ちは分かりますよね。
でも、決めるのに要る数字がそろってないうちに決めた額は、仕入れ先の次の値段が出た瞬間に決め直しです。
先に調べておけば、額も商品の組み方も一回で決まります。
順番として、調べるのが先なんです。
同じ日に、別の方から、値上げの理由をお客様にどう伝えるか、という質問も出ました。
額の話とは別なので、一般論だけ置いておきます。
飲食で値上げするには2つあって、1つは増量です。
お寿司屋さんでよく成功するパターンで、増量して値上げ、また増量して値上げ、と繰り返しながら上がっていくやり方です。
もう1つはクリンリネスです。
お店をきれいにする、という方法です。
きれいになったお店で同じものを食べたら、少し高くなっていても納得できますよね。
理由づくりで止まっている方は、この2つから考えてみてください。
値上げそのものは、迷わなくていいです。
ただ、額を決めるのは仕入れ値を調べてからです。
ぜひこの順番でやってみてください。
