経営の電話相談で、ハガキの話になると必ずといっていいほど出てくる質問があります。
「ハガキに何をどこまで書けばいいですか」
「今あるチラシを縮小して使ってもいいですか」
同じ相談を、先月までに4人の方からいただいています。
気持ちはよく分かるんです。
チラシもセールスレターも、何日もかけて作ったものです。
その中身をハガキにも活かせたら、手間も省けるし、内容もそろいます。
ただ、ハガキでDMを作るときの最大のポイントは、わかりやすさとワンメッセージです。
今回は、ハガキの作り方がチラシやセールスレターとどう違うのかをお話しします。
「チラシを縮小してハガキに使ってもいいですか」と聞かれたとき
ある方から、既存のお客様向けにハガキを出したいというご相談がありました。
手元には、反応のあったチラシがある。
これをそのまま縮小して、ハガキに刷ってもいいか、という質問です。
僕の答えは、ハガキ用に組み直してください、でした。

チラシをハガキの大きさまで縮めると、まず文字が読めなくなります。
チラシの本文は、チラシの大きさで読まれることを前提に組んであります。
それを数分の一に縮めたら、小さな字がぎっしり並んだ紙になりますよね。
受け取ったお客様は、目を凝らして読むでしょうか。
たいていは、ちらっと見て、そのまま置いてしまいます。
文字が読めないだけではありません。
チラシの中で強く見えていた見出しや写真も、縮めた分だけ埋もれていきます。
チラシで反応をいただけていた訴える力が、ハガキの上では弱まってしまうんです。
なのでこの方には、チケットのような形で情報を整理して、一目で何の案内か伝わる形にしてください、とお伝えしました。
中身を縮めるのではなく、ハガキのために組み立て直す。
同じお客様にお送りするのでも、ハガキにはハガキの作り方があるんです。
ハガキDMの作り方で、縮小がうまくいかない理由
なぜ縮小ではうまくいかないのか、もう少しお話ししますね。
セールスレターなら、便箋を何枚も使って、順を追って説明できます。
なぜこの商品なのか、どんな方に向いているのか、お客様の声、よくある質問。
読み手は封を開けた時点で、ある程度読むつもりになってくださっています。
ハガキはそうはいきません。
ハガキに載るのは、だいたい200〜300字ほどです。
実際に別の相談でも、セールスレターの要点を200字程度に凝縮して、場所と電話番号を添えてください、とお伝えしたことがあります。
セールスレターでは書けていたはずの内容を、全部この大きさに詰め込んだらどうなるか。
読み手は、理解できません。
ここがつらいところなんですよね。
書いた側からすると、どれも削りたくない大事な話です。
でも受け取ったお客様からすると、ハガキはポストから出して、ほんの数秒眺めるものです。
その数秒で何の話か分からなければ、どんなに良いことが書いてあっても、読んでいただけないまま終わってしまいます。
だからハガキでは、たくさん伝えようとするほど、伝わる量が減っていきます。
反対に、伝えることを1つに絞るほど、その1つがちゃんと届くようになるんです。
ハガキに1つだけ残すなら、何を選ぶか
では、その1つに何を選ぶのか。
ハガキを読んで、お客様に申し込んでいただきたいわけですよね。
購入していただくなら、お客様の頭にいちばん先に浮かぶのは「これは自分にとって得なのか」です。
なので、ハガキで伝える1つは、相手を行動させるためのお得感のある申し出に集約されてきます。
ひとつ誤解のないようにお伝えしておくと、お得感というのは値引きのことではありません。
商品の性能をていねいに説明することでもありません。
受け取った方が、ぱっと見て「あ、これは自分が得をする話だ」と分かる申し出のことです。
ある相談では、性能の説明をやめて「3枚張り替えたら1枚無料」のような申し出を前面に出してください、とお伝えしました。
あわせて、複雑な説明はせずに「好評につき再募集」とシンプルに書くことをおすすめしました。
3枚頼んだら1枚ついてくる。
これなら説明がいりませんし、ちょうど張り替えを考えていた方が、今頼もうかな、と思えますよね。
ただし、安売りに見せてはいけません。
同じ申し出でも、書き方ひとつで受け取られ方が変わります。
たとえば「キャンペーン」という言葉は、どうしても安売りの印象がついてきます。
そこで別のハガキの相談では、「キャンペーン」を「企画」や「ご案内」に書き換えてください、とお伝えしました。
いつもお世話になっているお客様への、特別なご案内。
そう受け取っていただければ、お店の値打ちを下げずに、申し出の得だけがちゃんと伝わります。
1つの申し出を信じてもらうために、ハガキに足すもの
申し出を1つに決めたら、あとはそれを信じていただくための材料を、最小限だけ足します。
1つめは、期間が限られていることです。
「このご提案はこの時期だけです」と一言あるだけで、受け取った方は、いつかではなく今動こうと思えます。
2つめは、資格や施工の経験を書いた一文です。
どこの誰からのハガキなのか分からないままでは、どんなに得な申し出でも、お客様は電話をかけにくいものです。
この人なら任せても大丈夫だ、と思っていただける一文があると、申し込むときの不安が小さくなります。
字数は少し増えますが、それ以上に信頼していただける効果のほうが大きいんです。
3つめは、写真です。
ハガキに載せるなら、イラストよりご本人が写った写真をおすすめしています。
新しく撮らなくても、過去に使った写真でかまいません。
顔の見えるハガキは、それだけで知っているお店からの便りとして読んでいただけます。
申し出が1つで、期間が限られていて、送り主の顔と経験が分かる。
これだけそろえば、200〜300字のハガキでも、お客様に動いていただくにはじゅうぶんです。
手元のチラシを縮める前に、まずはお客様にとって得になる申し出を1つ、紙に書き出してみてください。
その1行が決まれば、ハガキの残りはぐっと作りやすくなるはずです。
ぜひお試しを!
