繁忙期になると、注文や予約が一気に集中しますよね。お盆前や年末など、家族が集まるタイミングに合わせて「きれいにしておきたい」というご依頼が重なる時期、心当たりのある社長さんも多いのではないでしょうか。
無理をして全部を受ければ、仕上がりのクオリティが落ちたり、社員が疲弊したりします。かといって、お断りするのも申し訳ない。そこで多くの社長さんが考えるのが「少しお待ちいただけないか」というお願いです。ただ、お願いするだけでは角が立ちます。何かお礼を用意したい。すると今度は、そのお礼をどう設計するかで悩んでしまうんです。
以前の問題解決ワークでも、まさにこの相談がありました。今日は、その場で私が整理した内容を、開催レポートとして紹介します。
「お待ちいただくお願い」に、お礼をどう添えるか
ある店舗の社長さんからの相談は、お盆前に出すハガキについてでした。家族が集まるお盆が近づき、注文や予約が混み合ってきている。そこで、急ぎでないご依頼については、お盆明けまでお待ちいただけないかとお願いするハガキを、すでに用意していました。
その場で、実際のハガキの原稿を読み上げる場面もありました。日頃の利用へのお礼から始まり、繁忙期で予約が混み合っていること、急ぎでなければ待ってほしいこと、そして待っていただいたお礼として何かをお渡しすること。文面の骨子は、すでに固まっていたんです。
お願いだけを一方的に伝えるハガキは、どうしても事務的な連絡になってしまいます。だからこそ、待っていただくことへのお礼を添えたい。ここまでは、多くの社長さんが自然にたどり着く発想です。問題は、その先の「何を渡すか」で足が止まってしまうことなんです。
悩んでいたのは、そのお礼の中身でした。キャッシュバックにするか、10%引きにするか、それともプレゼントにするか。ここで判断が止まっていました。
私の答えは「プレゼントでいい」
私はこう伝えました。「プレゼントでいいと思います」と。特典は地域の産品でも構いません。お酒の飲み比べや、お菓子の詰め合わせのようなものでも、十分に気持ちは伝わります。
10%引きについては、やりたくないのであれば、無理にやる必要はありません。文面自体もほぼそのままで問題なく、大きく直す必要はないとお伝えしました。
特典を考えるとき、社長さんはつい「もっと喜んでもらえるものを」と凝ってしまいがちです。ですが、地域の産品のような、身近で気軽に用意できるもので十分です。凝った特典を考える必要はありません。凝った特典を用意しようとするほど、選定や手配に時間がかかり、結局ハガキを出すタイミング自体が遅れてしまう。それでは本末転倒です。
なぜ、値引きでなくプレゼントで返すのか

ここで少し、考え方を整理しておきます。値引きは、一度お客様に提示すると、次の機会にも同じ水準を期待されやすくなります。定価に戻すタイミングを逃せば、値引き自体が当たり前になってしまう。これでは、繁忙期をしのぐためのお願いが、価格そのものを崩す原因になりかねません。
セールで安くなったものと、手土産でいただいたもの。同じくらいの値打ちでも、記憶に残り方は違いますよね。値引きは「お得だった」で終わりますが、プレゼントは「気にかけてもらえた」という記憶になります。お礼として渡すものは、値段の話ではなく、関係の話なんです。
その点、プレゼントであれば、あくまで「お待ちいただいたことへのお礼」という位置づけを保てます。価格の基準を動かさずに、感謝の気持ちだけを形にできる。しかも地域の産品のような、身近で気軽に用意できるもので十分です。
同じ仕組みは、時期を変えて繰り返せる
今回のハガキについては、もうひとつお伝えしたことがあります。この文面は、12月など別の繁忙期にも、ほぼそのまま繰り返して使えるということです。
繁忙期はお盆だけに限りません。年末を控えた時期にも、同じように予約や注文が集中する店は多いはずです。時期が変わるたびに文面をゼロから作り直していては、忙しい最中に余計な負担が増えるだけです。「お待ちいただくお願い」の型を一つ作っておけば、時期に合わせて日付とプレゼントの中身を差し替えるだけで済みます。問題解決ワークのような場で一度整理しておくと、こうした使い回しのきく型が見えてきます。
おわりに
お待ちいただくお願いは、値引きで頭を下げなくても成立します。むしろ、値引きに頼らないほうが、価格の基準を守りながら、お客様との関係も損なわずに済みます。
繁忙期を迎える前に、あなたの会社では、待っていただくお願いをどう伝えていますか。文面や特典に悩んだときは、一人で抱え込まず、他の社長さんの視点を交えて整理するのも手です。よかったら一度、あなたの繁忙期対策を、一緒に整理させてください。
