「現場の写真、ちゃんと撮ってますか」。畳の張り替えでも、リフォームでも、外構でも、仕上がりを写真で残して、報告やホームページに使う商売は多いですよね。で、たくさん撮っている人ほど、なんとなく仕事熱心に見える。ところが先日、それをひっくり返すようなデータが出たんです。
写真が多い人ほど、先月の売上が低かった
僕が関わっている、ある業種の経営者の勉強会で、こんな宿題を出しました。「自分の仕事場の写真を撮ってきてください」。集まったのは30人。平均で14枚、いちばん多い人は40枚も撮ってきてくれました。
その場でスマホのアンケートを配って、先月の売上も一緒に答えてもらったんです。仕込みなしの、その場の突き合わせですよ。そうすると、面白い結果が出ました。写真をたくさん撮ってきたグループのほうが、平均の売上が低かったんです。
撮影枚数が多い14人と、少ない14人に分けて平均を比べると、多いグループのほうがはっきり低かったんです(勉強会30人のその場アンケート実測)。統計で見ても、枚数が増えるほど売上が下がる方向に、ゆるい相関(相関係数でマイナス0.41)が出ています。サンプルは28件と小さいので、これだけで断定はしません。でも、無視するには惜しい傾きなんですよね。
なぜ、撮り慣れた人は4枚で足りるのか
じゃあ、なぜこうなるのか。「腕が悪いから撮れない」ではありません。むしろ逆なんです。
売上の高い人は、そもそも直すべき課題が少ない。そのうえで、いつも撮って報告に慣れているから、要点だけを効率よく撮れる。だって、一部屋なら4枚も撮れば十分に伝わりますよね。角度を変えて、必要なところだけ。それで足りるんです。
ところが撮り慣れていないと、同じようなアングルで何枚も撮ってしまう。どれが要るのか自分でも判断がつかないから、とりあえず数で押さえにいく。つまり枚数は、腕前ではなく、「現場の整い具合」と「伝える力」を映す体温計みたいなものなんですよ。
念のため言っておくと、枚数を無理に減らす必要はありません。撮るなら、多いほうがいい。ただ、多く撮らないと不安だという状態そのものが、何かのサインだ、という話です。
もう一段下に、「隠して撮る」段階があります
で、ここからは僕の経験則です。
撮り慣れていない段階の、さらに下に、もう一つ段階があると思っています。仕上がりに自信がない部分、見られたくない部分を、無意識のうちにフレームの外へ追い出してしまう撮り方です。散らかった台の端、やり残した隅、古びた什器。そういうところを、本人も気づかないまま画角から外している。
これ、写真の技術の問題に見えて、じつは現場そのものの問題なんですよね。見せられる状態になっていないから、見せられる角度でしか撮れない。逆に、どこを撮られても平気な現場は、堂々と全部を写せる。だから枚数も構図も、結局は「現場の統制がとれているか」に引きずられるんです。
明日からの撮り方は、3ステップでいけます
とはいえ、精神論で終わらせても仕方ありません。明日からできる撮り方を、3つに絞ります。
一つ目。隠さず、まず全部撮る。都合の悪いところこそ、先に写す。見えてしまえば、直す気になりますからね。
二つ目。そのうえで、相手に伝わる4枚を選ぶ。全部を見せるのではなく、「この4枚で伝わるかな」と考えて選ぶ。この選ぶ作業が、そのまま伝える力の練習になります。
三つ目。片付いて整った完成形を、定点で撮っておく。同じ角度で一枚残しておいて、「次からはこの状態に戻す」というルールにするんです。工場や整備の現場では、道具の置き場を写真や絵で決めて、そこへ戻すのが当たり前になっています。あれと同じ理屈ですよ。完成形の写真が一枚あるだけで、維持がぐっと楽になります。
写真は、現場の通信簿です
まとめます。状況がうまくコントロールされている現場では、写真の撮り方ひとつにも差が出ます。枚数と構図には、現場の統制のとれ具合と、相手への配慮が、そのまま写ってしまうんですよ。
だから、写真がうまく撮れないなと感じたら、カメラの腕を疑う前に、現場そのものを見直すのが近道です。撮る前に、まず整える。整えば、自然と少ない枚数で伝わるようになります。
RMMSでは、この「集客の前にやっておく現場づくり」を、実際の写真を持ち寄って一緒に見直しています。うちの現場もそうかもしれない、と思った方は、ぜひ一度のぞいてみてください。
