「チラシを撒いても反応がない」「広告費ばかりかさんで、新規が思うように来ない」。そう嘆く社長は、本当に多いんです。
気持ちはよくわかります。今月の売上が足りない、だから新規を増やそう、広告を出そう。でも思ったほど当たりません。焦って、また次の一手にお金をかけてしまいます。この繰り返しで、費用だけが積み上がっていくんです。
先日の集客セミナーでも、まさにこのテーマから入りました。今日はその日、私が会場で話したことを、開催レポートとして紹介します。結論から言うと、問題は「新規が取れないこと」ではなく、その手前で、もっと大きな売上の源を見落としていることにあります。
「新規を追いかけ病、大丈夫ですか?」
セミナーの序盤、私は参加者にこう切り出しました。「みんな新規新規って。新規を追いかけ病、大丈夫ですか?」と。
「広告が当たらない」「チラシが当たらない」。それを「やり方が悪いのかな」と考える前に、そもそも新規という指標そのものが、思っているほど売上を動かしていないのではないか、そこを一度、疑ってほしかったんです。
実際、多くの会社では、売上の内訳はだいたい決まっています。新規のお客様から生まれる売上はおよそ2割。残りの8割は、すでにお付き合いのある既存のお客様がつくっています。売上の8割は、リピート客が支えているんです。
それなのに、経営者の目線はいつも「まだ見ぬお客様」に向いてしまいます。目の前にいるお客様より、これから出会うお客様のほうが魅力的に見えるんです。これは、経営者がかかりやすい病気のようなものです。
「もう買ったから買ってくれない」という思い込み
なぜ、目の前の既存客が見えなくなるのか。理由の一つは、既存客の購買力を、社長自身が過小評価しているからです。
セミナーでも話しました。「既存のお客様、お付き合いのあるお客様の購買力を、みんな過小評価している。『もう買ったから、もう買ってくれないだろう』という感覚があると思うんですけど、違う商品はどんどん買ってくれますから」と。
ここが、大きな見落としです。同じ商品を何度も買ってもらうのは難しいです。でも、その人が困っている「別のこと」に商品があれば、話はまったく変わります。すでに信頼関係ができているぶん、新規の相手にゼロから説明するより、はるかに受け入れてもらいやすいんです。

「もう買ってくれない」というのは、社長の頭の中だけにある思い込みです。お客様は、まだあなたに頼みたいことを、たくさん残しているかもしれません。それを提案していないだけ、ということが本当に多いんです。
売上を「かけ算」で分解してみる
では、どこに手を打てばいいのか。ここで、売上を一度バラして考えます。売上は、たった3つの要素のかけ算で決まります。
売上 = 新規顧客数 × 客単価 × リピート回数。この式です。
新規新規と言っている社長は、この式のいちばん左、「新規顧客数」だけを必死に上げようとしています。でも、かけ算ですから、真ん中の「客単価」と、右の「リピート回数」も、同じだけ売上に効きます。しかも既存客に関わる後ろの2つは、新規獲得よりずっと低いコストで動かせるんです。

この話を、私はその日、ゴルフの体験談から入りました。今年、調子が悪くて100を叩いてばかりだったのを、誰の言うことも聞かず、自分のやり方に振り切ってみました。具体的には、ドライバーを短く切って、持っていくクラブを3本に絞って、フルショットもやめました。そうしたら、いいスコアが出たんです。「みんな嘘やってん、騙されてた。YouTubeの逆をやることです」と。
マーケティングも、これと同じだと思っています。世間が「新規、新規」と言っているときこそ、その逆をやるんです。つまり、みんなが見向きもしない既存客のほうに、実は8割の売上が眠っています。多くの人がやっていることの逆に、答えがあることは少なくありません。
おわりに
新規が取れないと嘆く前に、一度、自社の売上を分解してみてください。新規顧客数、客単価、リピート回数。この3つのうち、あなたが手をつけていないのはどこですか。
おそらく多くの社長にとって、いちばん伸びしろがあるのは、すでにお付き合いのある既存客への再アプローチです。「もう買ってくれない」と決めつけていた人たちが、実は売上の8割をつくっているんです。そこに、まだ提案していない商品はないか。それを考えるだけで、広告費に頼らない売上の道が見えてきます。
自社の集客をどこから見直せばいいか、一人で考えると、つい新規に引っ張られて止まりがちです。よかったら一度、あなたの会社の売上の中身を、一緒に棚卸しさせてください。
