新しい商品を思いついたとき、最初にやるのは電卓を叩くことですよね。
原価がいくらで、いくらで売れて、月に何件出たら黒字になるのかを計算します。
黒字になりそうにないと分かった時点で、その商品はお蔵入りです。
ただ、その電卓の叩き方だと、始められる新規事業がほとんど残らないんです。
足した商品がそれ単独で黒字になる、そんな都合のいい話はそうそう転がっていないので、電卓を叩いた時点でほとんどの案が消えていきます。
今回は、新しい商品をその商品だけの採算で見るのをやめたら何が起きるか、というお話です。
9月の1dayセミナーのテーマは、新規事業展開でした。
そこで、かつてある会員さんがやっていた型を、皆さんに説明しました。
エアコンクリーニングを入り口にして、そのお客様に防犯カメラを提案して、その先でリフォームを売っていく、という順番で組んであったんです。
「エアコンクリーニングだけで黒字展開しようと思うと大変すぎるんで」
「2割がリフォームまで到達してくれたらOKっていうやり方でしたね」

エアコンクリーニングの伝票だけを取り出して見たら、儲かっていません。
毎月その数字だけ見せられたら、やめたくなりますよね。
でもこの型では、エアコンクリーニング単体の数字で良し悪しを決めていないんです。
見ているのは、リフォームまで含めた全体の数字です。
「一見新規事業エアコンクリーニングボロ負けじゃんってなるけどその後リフォームが取れればいいんで、そういうモデルで考えなきゃいけない」
「普通こうやって考えるんですよ」
「そんな全部黒字でってならないんで」
新しい商品を足すたびに、その商品だけで黒字にしようとすると、冒頭の電卓の話と同じで、何も始まらないんです。
商品単独で採算を考える必要はありません。
エアコンクリーニングは、その先でリフォームが売れるためのきっかけです。
利益はリフォームで出します。
主力商品を売るための新規事業、という考え方なんです。
ここで、条件がひとつあります。
そのエアコンクリーニングを、誰に売るかです。
「これで新規顧客をエアコンクリーニングで取ってたら本当に赤字がでかくなるんですけど、既存のお客様に対して提案するだけなんで、どうせニュースレター送ってるから実質コストゼロでいけるじゃないですか」
「限りなく低コストでアプローチできるからこの方法でいいんですよ」
新しいお客様を集めるには、集客にお金がかかります。
もともと儲からない前提のエアコンクリーニングに、その集客費まで乗せることになるからです。
当日、僕が描いて説明した設計図は、こういうものです。
「今のお付き合いのあるお客様に、他の広報のレールに乗ってついでにお知らせして勝手に売れてくれたら便利だなぁ。勝手に売れたエネルギーをもとに新しいお客様をまた開拓できればいいなぁ。その後に本体を大きく売れる、利益が上がる商品が待ち構えてて、そこまでのベルトコンベアにつながればいいなぁ」
エアコンクリーニングは、この設計図の入り口に置く商品として選ばれていたわけです。
新規事業の話をすると、「事業が安定したらやりますわ」とおっしゃる方がいます。
「何か良い商品見つかったら走ります」という方もいます。
どちらも、それではうまくいかないんです。
新規事業は、今の事業からの脱出です。
新しいのをやったら、またそこからの脱出の繰り返しなので、安定を待っていたらいつまでも走り出せません。
良い商品が向こうから見つかるのを待つのではなくて、今のお客様とのお付き合いを広げながら、どの事業領域に出るかを先に考えて、先に走るんです。
今のお客様への提案なら、走り出すのに集客費が要りません。
ニュースレターの次の号に載せれば、それでもう始まっています。
何を載せるかは、今の既存のお客様が何に困っているかから選びます。
こういうのができたから売りたい、はあまりお勧めしません。
お客様が欲しいものを提供する、それだけなんです。
欲しいものなら、ついでのお知らせでも勝手に売れてくれます。
始める前に、見ておいてほしいことがあります。
まず、集客コストがかからないかどうかです。
「だからその商品売るのにブログ300記事書きますねはしんどすぎるんですよ」
「いきなり300記事ないと集まらない状態。商品だとちょっと厳しいわけです」
「やっぱり顧客リストがどっかにある中で展開できた方が圧倒的に楽ですよ」
書き終わるまで注文がひとつも来ない商品を、書きながら抱え続けるのは、しんどいですよね。
記事は、後から書けばいいんです。
顧客リストというのは、いま名簿がある相手のことです。
請求書を出した先や、ニュースレターを送っている先ですね。
そこに載せられる商品なら、集客費はかかりません。
それから、競争相手です。
「これもやっぱりこういう時代なんで海外製品に勝てるかどうかっていうことですね」
低クオリティで低価格のサービスが競争相手になる領域は、しんどいです。
価格競争で勝とう、という意味ではありません。
そういう相手が来ない領域を選ぶ、という意味です。
ある会員さんのお客様は、「高いけどしょうがない」という方ばかりなんです。
それで結果、ちょうどいいんです。
そういういいお客様は、外にはほとんどいません。
「高くてもいいって言ってくださるお客様に何か提案してる方は絶対いいんで」
集客費がかからなくて、しかも値段で比べられない相手に提案できます。
だから、売り先は今のお客様なんです。
主力商品が売れるきっかけになっていれば、新しい商品はそれで役目を果たしています。
次のニュースレターに何を載せるか、そこから考えてみてください。
