閑散期になると、社長はそわそわします。仕事が薄く、職人の手が空いていて、人件費は毎日出ていくのに現場が回っていません。あの感覚は、経験した人にしかわからない焦りだと思います。
「何か仕掛けなきゃ」と思います。でも、いざ動こうとすると、手が止まります。新しいお客さんを取りに行くのは時間がかかるし、かといって、昔のお客さんに突然連絡するのも気が引けます。再アプローチしたいのに、その口実が見つからないんです。ここで多くの社長が固まります。
先日の問題解決ワークで、まさにこの相談が出ました。既存のお客様へ、定期メンテナンスのお知らせを出したい、でも、どう書けばいいのか。今日は、その場で一通のハガキ文面が組み上がっていった過程を、開催レポートとして紹介します。
相談は「定期メンテナンスのお知らせを出したい」から始まった
相談の中身はシンプルでした。以前に納品したお客様へ、そろそろ点検をどうですか、というお知らせを出したい、とのことでした。定期メンテナンスのご案内です。閑散期に手が空いているぶん、既存のお客様に丁寧に向き合うチャンスでもあります。
ただ、いざ文面にしようとすると、これが書けないんです。売り込みくさくなるのが怖いし、かといって、当たり障りのない挨拶だけでは、ハガキを出す意味がありません。ここで詰まっていました。多くの社長が、まさに同じところで止まります。
その場で組み上がったハガキ文面
ワークの中で、一文ずつ組み立てていきました。核になったのは、次のような流れの文面です。
まず、納品から一定期間が過ぎたお客様へ、そのことをお伝えします。次に、自社の基準として、ある期間以内の点検をお勧めしている、と添えます。そして最後に、お客様の地域では◯月◯日ごろの訪問を予定しております、と具体的に切り出します。
「納品からしばらく経ちました」「当社基準では一定期間以内の点検をお勧めしています」「お客様の地域では◯月◯日ごろに伺う予定です」。この三段の運びで、ぐっと具体的なお知らせになります。ただ「点検しませんか」と聞くのとは、受け取る側の印象がまるで違ってきます。
狙いは受注ではなく、「見てくれている」感の演出
ここが一番の学びでした。このハガキの狙いは、点検の受注そのものではありません。「この会社は、自分のことを覚えていてくれる。ちゃんと見てくれている」という感覚を、お客様に届けることです。
納品からの期間を把握していて、点検の時期まで気にかけてくれて、しかも自分の地域に伺う予定まで教えてくれるわけです。受け取った側は、「そこまで自分を見ていてくれるのか」と感じます。この感覚こそが、次にまた声をかけてもらえる関係の土台になります。受注は、その後から自然についてきます。

だから、閑散期の再アプローチで「口実が見つからない」と悩む必要はないんです。口実は、売り込みである必要がありません。「あなたのことを見ていますよ」と伝えること、それ自体が立派な再アプローチになります。ハガキ一通で、それが届けられます。
「困りごとはありませんか」を、今日は5回言うと決める
ワークの中で、講師の口からこんな言葉も出ました。「他にお困りのことございませんか、を今日は5回言うぞと決めればいい」と。
気の利いた台詞をひねり出す必要はありません。うまく言おうとするから、言えなくなるんです。それより、シンプルな一言を「今日は5回言う」と数で決めてしまうことです。そうすれば、身構えずに口から出るようになります。
ハガキも、これと同じ発想です。凝った売り文句を考え込むより、「見ていますよ」という一点を、決めた通りに届けます。閑散期に手が空いているなら、そのぶん、既存のお客様一人ひとりに向き合う回数を増やせばいいんです。数を決めて淡々と届ける、それが、遊ばせている手を動かす一番の使い道です。
おわりに
閑散期の焦りは、新規を追いかけると余計に消耗します。そんなときこそ、すでにご縁のあるお客様のほうを向くんです。納品からの期間を見て、点検の時期を気にかけ、「見ていますよ」と一通のハガキで伝えます。受注を狙う前に、その感覚を届けることです。
文面の運びも、声のかけ方も、決めてしまえば手は動きます。「困りごとはありませんか」を5回言うと決めるように、ハガキも「見ている」を届けると決めれば書けます。
自社の閑散期に、どのお客様へ、どんな文面を届けるか。一人で考えると止まりがちなところなので、よかったら一度、一緒に整理させてください。
