災害のたびに、支援の呼びかけをしてきました。10年前の熊本地震のときは、個人でお見舞いを持って歩いていました。去年の八代の豪雨のときは、声をかけて集まった70万円を産地へお届けしました。
やってきたつもりです。それでも毎回、何かが足りないという感じが残っていたんですよね。
今回はその足りない部分に手を付けました。そして2026年8月6日付の日本農業新聞に、まさにその部分を記事にしていただきました。
日本農業新聞に載りました
記事に書かれていた、八代の被害
見出しは「熊本地震 畳生産に打撃 国内最大産地 イ草の織機損壊 作業困難に」です。
7月28日の地震で被害が大きかったのは、八代市、氷川町、宇城市。い草の国内生産のほとんどを占める地域です。
記事によると、八代市千丁町のい草農家さんは、持っている織機4台のうち2台が倒れて修理が必要になったそうです。新しく買うと1台300万円ほど。しかも織機は特殊な機械なので、修理できる業者さんが極めて少ない。
倉庫が倒れて、その下敷きになった織機もあると書かれていました。用水路が壊れて水が足りず、11月の定植も危ぶまれているそうです。
そして、2025年産の熊本県のい草生産農家は223戸。前の年から16%減っています。
昨年8月の豪雨で壊れて、まだ直っていない機械もあるという記述もありました。去年の被害が終わっていないところに、今年の地震が重なっているんです。
記事に載ったのは、提言の部分でした
記事の最後に、明日開くチャリティーセミナーのことを取り上げていただきました。該当箇所を引用します。
被害にあった産地への支援の輪も広がり始めた。経営スクール運営などを行うマイスターサポート(大阪市)は、7日に都内で畳店の経営者を対象としたチャリティーセミナーを開く。受講料は全額、被災した八代地域のい草農家を支援するためJAやつしろい業センターへ寄付する。
セミナーでは、畳店が高品質な国産畳表を売り、利益を残すための手法を紹介する。同社の島田光章代表は「畳店が国産の上位品を売れるようになれば、来年以降も産地に注文が入る。寄付は一度きりだが、注文は続く」とする。出典 日本農業新聞 2026年8月6日付 熊本地震 畳生産に打撃 国内最大産地 イ草の織機損壊 作業困難に www.agrinews.co.jp
いちばん伝えたかったのは、ここでした
そうなんです。記事になったのは、いくら寄付しますという話ではなく、寄付の限界と、その先の話のほうでした。
チャリティーセミナーを開きます、受講料は全額寄付します。それだけなら、支援の一例として短く書かれて終わりだったと思います。
僕が世に問いたかったのは、被災した産地に本当に必要なのは何なのか、という部分です。そこを記事にしていただけたのが、今回いちばんありがたかったところなんですよね。
支援をするたびに、足りないと思っていたこと
10年前は、個人でお見舞いを持って歩いていました
10年前の熊本地震のときは、個人でお見舞いを持って現地を歩きました。公表もしていません。支援をしていることを外に出さなくてもいいという思いが強かったからです。
そのあとの10年でも、いろいろな災害がありました。被災した取引先を応援するキャンペーンを仕掛けたこともあります。
そこで驚いたのは、市場の反応が冷めるまでの速さでした。人は災害に対して、これほど早く興味をなくすのかと思ったんです。
温かいうちに動かないと届かない。そう分かっているのに、準備から実行まで時間がかかる。しかも1人で動く影響力はたかが知れています。
去年は募金を取りまとめました。それでも遅い
去年の八代の豪雨のときは、やり方を変えました。1人で動くのをやめて、いろいろな方に声をかけたんです。
畳店さん、治療家さん、福祉事業者さんなど25社から70万円が集まりました。渡し先も赤十字ではなく、顔の見える相手にしました。11月14日に産地へお届けしています。
一定の成果はありました。メディアにも取り上げていただいて、一歩前進したと思っています。
それでも課題は残りました。遅いんです。被害が出てから、こちらが動き出すまでが遅すぎる。
配って終わりでは、来年の産地が残らない
もう一つ、ずっと引っかかっていたことがあります。
僕たちが少々のお金を集めて配ったところで、できることは限られているんですよね。届いたその日は助かります。でも来年、再来年と復興が本格化していく中で、畳表の需要そのものが落ちていたらどうなるか。
復興のしようがないんです。
設備を入れ替えるにも、用水路や環境を直すにも、注文の見通しがなければ踏み切れません。織機が1台300万円で、修理できる業者さんも少ない。その状況で農家さんが考えるのは、買い替えるかどうかではなく、来年これで作ったものが売れるのかどうかです。
言い方を変えると、募金は今日を助けますが、来年を作るのは注文なんです。
い草農家は223戸まで減りました。このまま需要が落ちれば、震災とは関係なく産地は細っていきます。業界でお世話になった人間として、それを傍観していていいのかという引っかかりが、ずっとありました。
だから今回は形を変えました
震災の翌日に決めたこと
今回は、震災の当日か翌日に八巻太一さん(有限会社八巻畳工業)と相談して、チャリティーセミナーをやると決めました。
日がなかったので、広い会場は取れていません。行き届かないところもあると思います。それでも、まず速く動くことを優先しました。
そして中身は、畳店さんが国産の上位品を売れるようになるための手法だけにしました。畳店さんが中〜高級ランクの畳表を安定して注文できる店になれば、来年も再来年も産地に注文が入ります。
僕は畳の作り手ではありません。い草を育てたこともないし、織機を触ったこともない。僕にできるのは、売り方の側からの手伝いだけなんです。
受講料は全額寄付します
明日8月7日に東京で開くセミナーの受講料は、全額をJAやつしろい業センターへ寄付します。
会場費も運営費も当社が負担します。受講料から経費を引いて残った分ではなく、いただいた金額をそのままお届けするためです。
寄付先は熊本県八代市千丁町のJAやつしろい業センター。去年70万円をお届けしたのと同じ産地です。
贈呈は集計してからになります。金額と日付が確定したら、あらためてご報告します。
当日の中身は、リクエストが多ければ公開します
当日話す手法については、ここには書いていません。リクエストが多ければ、公開していこうと考えています。
今日はまず、産地がこういう状況にあることと、今回は寄付の先まで手を伸ばすことにしたという報告まで。
畳店の皆さんには、来年の注文のことを頭の片隅に置いておいていただけたらと思います。
今回とこれまでの一次資料
今回のセミナーと、去年の寄付の内容です。
プレスリリース 2026年8月4日 令和8年熊本地震で被災したイ草産地へ、セミナー受講料を全額寄付 prtimes.jp プレスリリース 2025年11月12日 令和7年8月豪雨で被災したイ草農家へ寄付金を贈呈 prtimes.jp セミナー案内 2026年8月7日 東京 令和8年熊本地震チャリティーセミナー rmms.jp
