「伴走支援とは」と聞いて、どんなことを思い浮かべますか?
週に何回か連絡が来て、「あれ、どこまで進みました?」と確かめてもらう。
そんなイメージを持っている方が多いと思います。
検索すると福祉や介護の伴走支援も出てきますが、今回お話しするのは、社長の仕事を支援する、エグゼクティブ向けの伴走です。
で、僕は伴走支援の中身を取り違えている人が、実はかなり多いと思っています。
進み具合を確かめてもらうことが伴走支援だと思って頼むだけなら、あまり意味はないですよね?
それだと仕事の出来は、伴走前とあまり変わらないままになってしまうからです。
もちろん、進み具合の確認が要らないという話ではありません。
締め切りが近いのに手が付いていなければ、声をかけてもらえるのはありがたいですよね。
ただ、進んでいるかどうかを聞くだけなら、それを伴走とは呼べないと思うんです。
伴走支援とは、進み具合を聞いてもらうだけで足りるのか
何かを作っている本人は、出来上がったものを見て、たいてい「よくできた」と言います。
時間をかけて、頑張って、やっと形になったものですから、そう言いたくなるのは当然ですよね。
ところが、作っている途中でやり方を間違えていることがあります。
最初の方向が少しずれていて、そのまま最後まで進んでしまう。
本人は一生懸命なので、どこでずれたのかを自分で見つけるのは、かなり難しいんです。
そこへ伴走役が「進んでますか?」と聞きます。
本人は「進んでます」と答えます。
これ、嘘をついているわけではありません。
実際に手は動いていて、作業は先へ進んでいるんですから。
聞いた側も「それならよかった」と安心します。

こうして、聞く側も答える側も、ずれたまま進んでいることに気づかないまま、締め切りの日を迎えてしまいます。
出来上がってから「これ、ちょっと違いますね」と分かっても、そこから全部やり直すのは本当にしんどいですよね。
初回ミーティングで、伴走に入るうちの社員さんにお願いしたこと
RMMSには、社長の実行力サポートという伴走支援があります。
専任の社員さんが週1〜2回のペースで、メッセージやチャット、ビデオ通話を使って社長と1on1を行います。
作業が進んでいるかどうかだけでなく、本来やるべきことからずれていないかを細かく確かめて、そのズレをその場で直していくものです。
最初の目標設定のミーティングには、僕も同席しています。
2026年の夏、ある先生の初回ミーティングがありました。
ご自分で事業を営んでいる方で、僕は「先生」とお呼びしています。
伴走に入るのは、うちの社員さんです。
ほぼ創業のころから、ずっと一緒にやってくれている人です。
先生はちょうど、ご自分のノウハウを商品にしていく取り組みに取りかかったところでした。
その場で僕は、ちゃんと出来ているかどうかは、社員さんと伴走しながら見ていけばいい、とお伝えしました。
そのうえで、社員さんの持ち場をこう説明しました。
進み具合を確かめる役というより、
「多分先生はやり方を間違えてしまう可能性があります、途中で。」
だから先生が「これでいけてます」「いいのができました」と持ってきたら、一回見て、
「ほんまですか」
と返してほしい、と。
たとえば「これあまりにもありきたりちゃいますか」とか、「これマニアックすぎてわからないじゃないですか」とか、返し方の例も添えました。
少し話が進んだところで、もう一度、社員さんの担当を言い直しました。
「やるやらないより出来上がってるのが先生は何でもOKって、よくできたって言うと思うんで」
「ぶっちゃけダメですよっていうのを見てあげるって感じですね」
社員さんの返事はこうでした。
「はい。そんなことできるんでしょうか、私。」
そうですよね。
お客様である先生が、自信を持って「いいのができました」と持ってきたものです。
それに「ほんまですか」と返すのは、誰だって言いにくいと思います。
しかもこの役を渡したのは僕のほうで、社員さんが自分から手を挙げたわけではありません。
戸惑うのが、当たり前の反応なんです。
ビジネスの伴走支援で、出来上がったものの何を見るのか
社員さんは、こう聞いてきました。
「じゃあ、分かるような感じであればいいとか、そういうことですか?」
僕の答えはこうでした。
「こんなの簡単すぎて商品にならないんですよっていうのと、言ってることが全然分かりませんよっていう、両方見てあげないといけない」
ここで挙げた見方は2つです。
1つ目は、ありきたりで商品にならないか。
本人にとっては当たり前のことが、そのまま並んでいるだけになっていないか。
どこでも読めるような話なら、わざわざお金を払って買う人はいませんよね。
最初に添えた「これあまりにもありきたりちゃいますか」は、こちらの例です。
2つ目は、読む人に伝わるか。
中身がどれだけ正しくても、読み手の人が「何を言ってるのか分からない」と感じたら、その先は読んでもらえません。
もう一つの例に挙げた「これマニアックすぎてわからないじゃないですか」が、ちょうどこの場合に当たります。
どちらも、作った本人がいちばん判断しにくいところです。
だからこそ、作った本人ではない人の目が要るんです。
進め方も、その場でご提案しました。
先生が「ここまでやりました」と出す先を、うちの社員さんにする。
社員さんの了承を得たら、先へ進む。
こうしておけば、途中でずれても、そのずれた分だけ直せば済みます。
最後まで作り上げてから全部をやり直すのに比べたら、先生の負担はずっと軽くなりますよね。
進捗管理と伴走支援は、どこが違うのか
同じ場の終わりのほうで、僕はこう言いました。
「これが伴走支援だと思います。進捗管理というより。ちょっと親方みたいな感じです。」
社員さんは「私が?」と聞き返しました。
「はい。先生を。」
それを聞いた先生からは、こんな返事がありました。
「いや本当にめちゃめちゃありがたいです。その方が。」
お客様である先生に、うちの社員さんが親方として付く。
これが失礼な言い方なのは、僕も分かっています。
それでも親方という言葉を選んだのは、弟子の仕事を見て「まだですよ」と言える立場を、ほかにうまく言い表せる言葉が見つからなかったからです。
進捗管理なら、予定どおり進んでいるかを見ます。
伴走支援でお願いしたのは、出来上がったものを一回見て「ほんまですか」と返し、本人が「これはダメだ」と判断できるようにする役です。
社員さんの了承が出るまでは先へ進まないので、出来上がるたびに、先生がご自分の出来を見直すきっかけが生まれます。
いま伴走を頼んでいる方も、これから頼もうと考えている方も、進み具合の確認と一緒に、出来上がるたびに見せて意見をもらう約束をしてみてください。
次の一歩を、ずいぶん安心して踏み出せるようになると思います。
