「今だけキャッシュバック」「今なら〇〇円引き」。広告といえば、ずっとこの路線でやってきた。そんな店舗の事業者は、少なくないはずです。
値引きやキャッシュバックは、反応が読みやすい安心感があります。だからこそ、次の広告も、その次の広告も、つい同じ路線を選んでしまう。ですが続けているうちに、なぜか安い商品ばかりが売れて、客単価がじわじわ下がってくる。心当たりのある社長さんも多いのではないでしょうか。
では別の路線に変えればいいかというと、それも簡単ではありません。高級路線の広告を作ろうとしても、なぜかしっくりこない。狙った層にうまく当たらず、迷走してしまうこともあります。
以前の問題解決ワークでも、ある店舗の事業者から、まさにこの悩みに近い相談がありました。今日は、その場で私が整理した内容を、開催レポートとして紹介します。
客単価の下がり方をたどると、広告に行き着いた
相談の内容はこうでした。客単価が下がってきたというお悩みから、価格帯ごとの売れ行きを一つずつたどっていきました。話を進めるうちに見えてきたのが、広告がずっとキャッシュバック一辺倒になっている、という点です。
客単価が下がる原因は、値付けや接客だけとは限りません。広告そのものがどんな客層を集めているか、というもっと手前の問題であることも珍しくないんです。
キャッシュバックを前面に出すと、なぜ「お得目当ての層」ばかり集まるのか
私が指摘したのは、キャッシュバックを前面に出す広告を続けていると、お得目当ての層ばかりが集まってくる、という構造です。一番安い価格帯ばかりが伸びてしまう、よくあるパターンです。
対策としてお伝えしたのは、広告の訴求をキャッシュバックから、高級路線や希少価値へ少しずつ変えていくことです。ただし路線を変えれば、出荷数量は必ず落ちます。そこは見極めながら進める必要があります。
高級路線に切り替えようとして、迷走するスパイラル
ここで怖いのが、もう一つのパターンです。私はこう伝えました。「キャッシュバック体質の人に、高級化の広告を考えましょうと言っても、体がもう受け付けません。広告が迷走して、当たらなくなる。このスパイラルに入るときがあるんです」
キャッシュバックに慣れきってしまうと、いざ違う訴求で広告を作ろうとしても、どこかキャッシュバックの匂いが抜けません。頭では高級路線を狙っているつもりでも、手が動くと値引きの言葉に戻ってしまう。方向を変えたつもりが、結局同じところに戻ってしまう。これがスパイラルの正体です。
この日は、季節のお祭り企画のような一斉値引き企画も、お得目当ての層を集めてしまった反省例として話題に上がりました。良かれと思って打った企画が、結果として同じ客層を呼び込んでしまう。キャッシュバックに限らず、値引き色の強い企画には共通して起きやすい現象なんです。
広告を変えるなら、チラシは2〜4種類を混ぜてテストする
訴求を変える広告は、当たるかどうかが事前には読めません。ですから、いきなり全量を切り替えるのではなく、テスト用に1回、いつもより多めに打つのが基本です。

具体的には、こう伝えました。「チラシは2〜4種類混ぜて配ってしまえばいいんです。隣の家はキャッシュバック、こっちの家は違う訴求、ということもできますから」
印刷の版は最大4種類まで分けられます。エリアそのものを新聞折込の地域単位で半分ずつ分けて、訴求を変えるやり方でも構いません。全部を切り替える前に、混ぜて試す。この一手間が、路線変更の迷走を防いでくれます。
おわりに
キャッシュバック広告の罠は、お得目当ての層を集めてしまうことだけではありません。そこから抜け出そうとした先に、広告そのものが迷走するスパイラルが待っていることです。
だからこそ、いきなり路線を丸ごと変えるのではなく、チラシを複数パターン用意して、小さく試しながら進めます。全量を切り替える前に、混ぜて配って反応を比べる。この順番を守るだけで、迷走のリスクはぐっと下がります。
自社の広告、いま値引きやキャッシュバックにどれくらい頼っているでしょうか。一度チラシを並べて、訴求の偏りを確認してみてください。値引き一辺倒から抜け出す一歩は、路線を丸ごと変えることではなく、隣同士で違う訴求を試してみることかもしれません。
一人で判断が難しいときは、問題解決ワークのように、他の社長さんの視点を交えて整理するのも手です。よかったら一度、あなたの広告の訴求を、一緒に整理させてください。
