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「好きだから手放せない」——その仕事が、社長の足かせになっていませんか

株式会社キンキ 宮本佳典さんの伴走事例のイメージ

「好きだから、手放したくないんです」。株式会社キンキの宮本佳典さんが、自分の課題をこう言葉にしました。看板をつくる仕事が好きで、つい自分で抱え込んでしまう、と。一見いい話に聞こえますよね。でもこれ、会社の成長を止める原因になっていたんです。

今日は、うちの「社長の実行力サポート」で伴走させていただいた、宮本さんの話をします。看板の製造や図面の出力を手がける、腕のいい職人社長です。現場が好きでつい抱え込む、やりたい新規事業が何年も動かない。そんな社長に、特に読んでいただきたい内容です。

社長が一番好きな仕事が、伸びしろを止めることがあります

宮本さんには、やりたいことがありました。「新しい事業を10個立ち上げたい」と。ところが実際には、10年以上、新規事業を一つも立ち上げられていませんでした。

理由はシンプルです。社長の時間が、好きな現場仕事で埋まっていたからです。好きだから、うまいから、つい自分でやる。その気持ちはよく分かります。でも、社長が現場に立っている限り、未来を考える時間は生まれないんですよね。

まず、社長が「触らないもの」を決めました

そこで、少し変わったことをしました。社長が「やること」ではなく、「触らないもの」を決めたんです。

紙に触らない。機械に触らない。台車を持たない。つまり、現場の作業から社長の手を、物理的に引き剥がしていきました。最初は不安ですよね。自分がやらないと回らないんじゃないか、と。でも、やってみないと分かりません。

数週間後、その後どうですかと聞いてみました。返ってきた言葉が、とてもよかったんです。

おお、忘れていました。でも出来てます。簡単なことでもスタッフに任せています。

意識してがんばっていたのではなく、無意識でできていました。ここまで来たら本物です。

任された社員のほうにも、変化が起きました

面白いのは、任された側です。現場を任されたベテランのスタッフが、こう言ったそうです。「仕事は増えているのに、仕事量が減っているような気がします」と。

不思議な言葉ですよね。でも、これは指示待ちが減った証拠なんです。いちいち社長の判断を仰がず、自分で決めて自分で終わらせる。だから、仕事は増えても、心の負担は軽くなります。社長が手放すと、社員が育つんです。

手放して初めて、新しいことを考える時間が生まれます

社長の手が空くと、時間の使い道が変わります。宮本さんはいま、見積の基準づくりや、新しい販促の準備に取りかかっています。ずっと「やりたい」と言っていた新規事業のほうへ、ようやくエンジンが向き始めました。

ちなみに宮本さん、ユーモアもあって、私が「やりきりましょう」と発破をかけると、「まだ振り切れてないですね」と笑って返してくるんです。そんなふうに、楽しみながら着実に前へ進んでいます。

好きな仕事ほど、手放す価値があります

社長が一番好きな仕事は、たいてい「社長にしかできない」と思い込んでいる仕事でもあります。思い切って手放してみると、社員が育ち、社長には未来を考える時間が返ってきます。

実行力とは、根性ではありません。何を手放し、何に集中するかを決める。その順番を、となりで一緒に整えるだけなんです。

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