お礼状を入れてみました。ニュースレターも作ってみました。商品に説明のガイドブックも同梱してみました。よかれと思って手間をかけたのに反応が返ってこない、そんな経験のある社長は、けっこう多いんです。
作った本人としては、けっこう頑張ったつもりなんですよね。文章を考えて、印刷して、一枚ずつ入れて。それなのに、お客さんから何のリアクションもありません。「あれ、意味なかったのかな」と、だんだん入れなくなるんですね。もったいない話です。
先日の問題解決ワークで、この「同梱物の反応がない」という悩みに、はっきりした答えが出ました。今日は、そのやりとりを開催レポートとして紹介します。結論から言うと、反応がないのは、同梱物の役割を取り違えているからでした。
「お手入れガイドが必要なのは、お手入れ情報のためじゃない」
相談の場で、私はこう言い切りました。お手入れのガイドブックのようなものを商品に付けるとき、それが必要なのは、お手入れの情報を伝えるためではないんです、と。
これは、聞いた人がだいたい一度「え?」となる話です。お手入れのガイドなんだから、お手入れの説明をするのが当たり前じゃないか、と。でも、そこが落とし穴なんですね。
あれは、中身に自然と目を通してもらうためのツールなんです。お客さんは、届いた商品に「同梱されたもの」があると、つい手に取って開いてしまうんですよね。その「開いてもらう」ところに、いちばんの価値があります。情報そのものは、正直、二の次でいいんです。

「みんな一生懸命お手入れを説明する。違うんです」
ここが、多くの社長がハマるところです。同梱物を作ろうとすると、みんな一生懸命、お手入れの方法を説明しようとするでしょう。丁寧に、正確に、漏れなく。真面目な人ほどそうします。
でも、違うんです。ワークの場でも、私はそこをはっきり言いました。お手入れの説明を頑張ることと、お客さんに刺さることは、別の話なんです。
お手入れの手順が完璧に書いてあるガイドを、お客さんは隅から隅まで読むでしょうか。読みません。手順書は、必要なときに参照されるだけです。それより、そこに書くべきは別のこと。「この会社は、ここまで考えてくれているのか」と伝わることのほうが、はるかに効きます。
つまり、同梱物に書いてあるのは、突き詰めると「いかに自分たちがいい会社か、いい人間か」を分かってもらうこと。それだけなんです。お手入れの情報は、そのための入れ物にすぎません。ここが逆になっていると、どれだけ丁寧に作っても、反応は返ってきません。
役割を取り違えると、同業ごと本意を外す
この話には、続きがあります。うまくいっている会社の同梱物を見て、同業が真似をすることがあるんですね。「あの会社、ガイドブックを入れてるらしい。うちもやろう」と。
ところが、真似した側は、たいてい本意を取り違えます。表面の「ガイドブックを入れる」というやり方だけをコピーして、「中身に目を通してもらい、自分たちの人柄を伝える」という肝心の狙いを落としてしまうんです。
だから、お手入れの説明だけが妙に充実した、律儀なガイドブックができあがります。手間はかかっているのに、お客さんの心は動きません。形は似ているのに、効き目がまるで違うものになってしまうわけです。
これは同梱物にかぎった話ではありません。お礼状も、ニュースレターも、同じです。「送ること」「作ること」自体が目的になってしまうと、中身が空っぽになります。反応がないのは、たいていここが原因です。
同梱物は「お客さんとの関係を深める道具」
では、どう考え直せばいいか。同梱物やお礼状は、情報を届ける紙ではなく、お客さんとの関係を一歩深めるための道具だと捉え直すことです。

商品が届いたとき、お客さんが同梱物を手に取って開きます。その一瞬に、「ちゃんとした会社だな」「なんだか感じがいいな」と思ってもらえるかどうかなんです。そこで関係が一段深まれば、次につながります。逆に、そこがただの事務的な説明書だと、開いてもらっても何も残りません。
だから、まず考えるべきは「何を説明するか」ではなく、「これを開いた人に、うちの何を分かってほしいか」です。そこが決まれば、載せる中身は自然と変わってきます。お手入れの手順は、そのついでで十分なんです。
おわりに
お礼状も、ニュースレターも、同梱物も、反応がないのは手を抜いたからではありません。むしろ逆で、真面目に「説明」を頑張りすぎた結果であることが、ほとんどです。
同梱物の役割は、お手入れを教えることではありません。中身に目を通してもらって、「この会社はいいな」と分かってもらうこと。この一点を置き換えるだけで、同じ手間をかけた紙が、まったく違う働きをしはじめます。
自社の同梱物やお礼状に、いま何を載せているか。何のために入れているか。一人で見直すと、つい「説明を足す」方向に行きがちなところなので、よかったら一度、整理のお手伝いをします。
